🎹韓囜ゎスペル・한국 가슀펠

💎韓囜ゎスペルなど玹介・한국 가슀펠 등 소개핎요

🏊싀늬윘밞늬銀行砎産

💵Silicon Valley Bank collapse

日本語分




韓國語15秒


時瞜(시쎝·時價瞜額)
40兆(ì¡°) 芏暡(규몚)였던
矎國(믞국) 싀늬윘밞늬銀行(은행)
砎産(파산)의 衝擊(충격)읎
å…šäž–ç•Œ(전섞계) 金融圈(ꞈ융권)곌
䌁業(êž°ì—…)듀로 번지고 있습니닀.


矎國(믞국)에선 䞻芁銀行(죌요은행)
株價(죌가)까지 急萜(꞉띜)하멎서
바읎든 倧統領(대통령)읎 卜刻(슉각)
對應策論議(대응책녌의)에 나섰지만,
䞍安感(불안감)은 å…šäž–ç•Œ(전섞계)로
번지고 있습니닀.



韓國語1分秒


珟地時刻(현지시각)윌로
ì–Žì œ(2023幎3月11日)
矎國(믞국) 캘늬포니아의
地域銀行(지역은행)읞
퍌슀튞늬퍌랔늭銀行(은행)
한 支店(지점) 앞의 몚습입니닀.


預金(예ꞈ)을 匕出(읞출)하Ʞ
爲(위)핮 銀行(은행)을 찟은
사람듀읎 建物(걎묌) 밖까지
늘얎서 있습니닀.


矎國西郚(믞국서부) 싀늬윘밞늬의
最倧최대商業銀行(상업은행)읎었던
싀늬윘밞늬銀行(은행), SVB가
뱅크런(Bank-run·倧量預金匕出事態)
事態(사태) 하룚 만에
ç Žæ•£(파산)하멎서 地域銀行
(지역은행)윌로까지 預金(예ꞈ)을
찟는 行列(행렬)읎 몰늰 겁니닀.


矎(믞)캘늬포니아州(죌)의
代衚的地域銀行(대표적지역은행)읞
퍌슀튞늬퍌랔늭銀行(은행)곌
시귞니처銀行(은행)等(등)은
SVB(Silicon Valley Bank)
砎産以埌파산(읎후) 株價(죌가)가
各各(각각)14%,22%
急萜(꞉띜)했습니닀.


SVB(싀늬윘밞늬銀行)가
矎國內(믞국낎)
슀타튞업䌁業(êž°ì—…)의
資金窓口圹割(자ꞈ찜구역할)을
핮 옚 만큌, 預金(예ꞈ)을
돌렀받지 못하게 된
䌁業(êž°ì—…)듀은 回壘(회복)하Ʞ
얎렀욎 傷處(상처)륌 입을 거란
展望(전망)읎 나옵니닀.


ì¡° 바읎든 矎國倧統領(믞국대통령)은
卜刻(슉각) 캘늬포니아州知事(죌지사)륌
만나 對策協議(대책협의)에 나섰습니닀.


矎(믞) 랔룞버귞通信(통신)은
矎(믞) 芏制當局(규제당국)읎
預金䌁業保護政策(예ꞈꞰ업볎혞정책)
마렚에 나섰닀고 報道(볎도)했습니닀.


保護限床(한도)읞 25萬(만)달러,
우늬 돈윌로 3億3千萬(억천만)원을
保護超過(볎혞쎈곌)핮 保護(볎혞)
받지 못하는 預金額(예ꞈ액)의
侀郹(음부)도 뚌저 支絊(지꞉)하는
方案(방안)을 檢蚎(검토)한닀는 겁니닀.



韓國語27秒


衝擊(충격)은 å…šäž–ç•Œ(전섞계)
金融圈(ꞈ융권)윌로도
번지고 있습니닀.


特(특)히 SVB 英國支店(영국지점)은
預金去䟆(예ꞈ거래)와 新芏顧客(신규고객)
募集(몚집)을 äž­æ–·(쀑닚)하며
砎産宣蚀(파산선얞)을 앞둔 걞로
알렀지멎서 英國內(영국낎) 슀타튞업
180逘(여)곳읎 政府(정부)에 對策(대책)
마렚을 促求(쎉구)하고 있습니닀.


캐나닀와 䞭國(쀑국), 덎마크,
獹逾(독음), 印床(읞도)와
䞭國(쀑국)等(등) SVB
海倖(핎왞)支瀟(지사)가 있는
닀륞 國家(국가)로도
䞍安感(불안감)읎 퍌지고 있얎
읎번 事態(사태)는 읎제
始䜜(시작)에 侍過(불곌)할
수 있닚 憂慮(ìš°ë €)가 나옵니닀.


💣National bankruptcy


韓囜語の題囜家䞍枡(국가부도)의 날
日本語の題囜家が砎産する日


テレビ
韓囜が぀いに経枈先進囜ず認められたした。韓囜人の85が自分を䞭間局だず考えおいる事が明らかになりたした。


シヒョン(通貚政策チム長)
たず、経枈実務者を招集しお䞋さい。韓囜の囜家が倒産するたでの時間は 䞀週間です。


倧統領
祭りは終わった ずいうこずか。


シヒョン
早く囜民に知らせなければ。隠すだけしお、事が起きたら、その時、囜民はどうなるのですか。


投資家
この危機に投資したす。デカむ儲け話がありたす。囜が滅びない限り、絶察儲かりたす。


蚘者
史䞊最倧の経枈危機が始たったずいうのは事実ですか。


倧統領経枈察策チム
ハンラが䞍枡り。デむルグルプが䞍枡りです。ニュコアグルプも䞍枡りです。デりが危険だずいう事です。䌚長が特別面談を芁請しおいたす。


シヒョン
IMFはだめです。正答ではありたせん(たちがっおいたす)。


囜民:
囜家砎産の危機に政府は䜕の察策も取っおいたせん。無知無胜な政府。


補䜐官:
今、倧韓民囜が倉わる瞬間だ。


IMF専務理事
ハり マッチ ドゥ ナ ニド


シヒョン
貧しい者がさらに貧しくなり、
倱業が日垞ずなる䞖の䞭。
そんな䞖の䞭にしおはいけたせん。


✎✏✐✎✏✐✎✏✐


📕十字架嫌悪シンドロヌム


ピヌタヌ・シャビ゚ル
目次
第䞀章 「十字架嫌悪シンドロヌム」の脅嚁
䞀キリスト教䌚の危機
バチカンでの䌚議
キリスト教ぞの脅嚁
(二広がる脅嚁
む゚ス、十字架を塗り぀ぶす
燃やされた十字架
十字架を芋お身䜓に異垞を蚎える
䞉十字架偶像厇拝ぞの批刀か
燃やされた十字架
燃やされた十字架
偶像厇拝ぞの批刀か
四予期せぬ展開
第二章 背景
䞀生い立ち
賭け
青空ず桜
グロヌブに抱かれお
二叞祭ぞの道
出䌚い
空しさの極み
召呜
第䞉章 誀解されたむ゚スの心情
䞀再䌚
こころずシスタヌ・テレサ
優しさに包たれお
「私を芚えおいるか」
二はるかなる時を超えお
籠の䞭の赀ん坊
懐かしい声
幌子む゚スずの秘密
私の心情を理解しお欲しい
䞉シスタヌ・テレサぞの質問
啓瀺に぀いお
吐き気を催すこずに぀いお
第四章 察策委員䌚での報告
生い立ちず啓瀺の報告
「聖心の啓瀺」の珟代版か
第五章 シスタヌ・テレサが受けた「心情の啓瀺」
䞀よみがえる幌子む゚スの蚀葉
シスタヌ・テレサの葛藀
二床目の出珟
癜玙の心に戻っお
十字架は必芁ない
二む゚スの涙
誀解しおいたのは・・・
十字架は神の願いでなかった
第六章 傍芳者ずしおではなく
(䞀䞎えられた䜿呜
忙しい日々
新たな啓瀺の内容を知らされお
助け手ずしお
(二山本神父の決意
ダノシュ・ガゎの意味䞍明の蚀葉
山本神父の父、忠䞀の倢
䞉教皇の死ず新教皇の遞出
第䞃章「聖心の信心」ゆかりの地を蚪ねお
サクレ・クヌル倧聖堂
む゚ス出珟の聖堂
パレ・ル・モニアルでの日々
捚おられたむ゚ス
第八章 察策委員䌚での報告 前半
䞀心情の啓瀺の報告
曎なる緊匵
啓瀺の報告
二癜熱する議論
む゚スを嫌悪しない「十字架嫌悪シンドロヌム」
「最倧の眪」ず「神の願い」
掗瀌者ペハネずむ゚スの関係
第九章 察策委員䌚での報告 埌半
開始前の゚ピ゜ヌド
十字架ず「聖職者の結婚問題」
い぀から神の願いになったのか
ゲッセマネの心情
第十章 逮捕
䞀期䞀䌚
意識䞍明
教皇代理
逮捕
第十䞀章 本物の声明文を巡っお
(䞀留眮所の䞭で
心の痛み
䞍思議な倢
(二本物の声明文
蚌蚀
釈攟
䞉「十字架嫌悪シンドロヌム」に䟵された教皇
バチカンの苊悩
トニ枢機卿の困難な立堎
第十二章 む゚スの心情を求めお
䞀明かされた声明文
疑問
もれた情報
歎史的な声明文の発衚
どうしお私を迫害するのか
む゚スの苊しみを慰めるために
二発衚埌
矀衆の䞭で
巡瀌者たち
神の栄光が珟れるために
䞉シスタヌ・テレサの祈り
囜際電話
招請の可胜性
ロヌマでの再䌚
涙の花びら
む゚スの心情を求めお



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■ 第䞀章 「十字架嫌悪シンドロヌム」の脅嚁
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â–Œ 䞀キリスト教䌚の危機
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◆ バチカンでの䌚議
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〇〇〇〇幎䞃月初旬のある朝、山本成䞀神父は、明るい日差しを济びながら、ロヌマ垂の䞭にあるバチカン垂囜ぞの道を急いでいた。
「時が経぀のはなんず早いのだろう」


䞉幎半の留孊生掻を終え、間もなく日本に垰囜しようずしおいた山本神父は、ロヌマでの日々を思い出しおいた。圌がこの間䞖話になった教䌚から、バスに乗っおバチカンぞ向かうロヌマの町の颚景は、い぀芋おも矎しかった。日本でカトリック神父になるための叙階匏を受けたのは、圌が二十八歳の時であった。その埌四幎間神父ずしお働いおから、神孊の孊䜍を取るためロヌマのグレゎリアン倧孊に留孊生ずしお掟遣されたのである。
「来幎はもう䞉十五歳か」


圌は自分がもうそのような幎になるずいうこずが信じられず、心の䞭で぀ぶやいた。勉孊が今の圌の䞻な仕事であるが、䜕日間かは神父ずしお手䌝っおもいた。基本的には無償奉仕であったが、お瀌の気持ちずいうこずでいくらか受け取るこずもあった。


近くの女子修道院で毎朝ミサを立おたり、土曜日・日曜日のミサず説教をしたり、告解宀に入っお信者たちが犯した眪や悩みを聞いお「赊しの秘蹟」を䞎えたり、病人を蚪問しお聖䜓キリストの聖なる䜓ず信じられるパンを䞎えたりするのである。
たた時々、結婚匏や葬儀のミサを手䌝うこずもある。孊費や基本的な生掻費は圌が所属するカトリックの京郜教区から揎助しおもらっおいた。しかし、本代なども銬鹿にならず、「お瀌の気持ち」でずいぶん助かった。


バチカンぞの道を急ぎながら、埩掻祭前の基瀎神孊の授業での䞀堎面がふず思い出された。
「ただむヌスタヌには少し早いですが、それぞれの出身の囜の蚀葉で、䞻の埩掻をお祝いしたしょう」


教授がそう提案するず、孊生たちはそれぞれの囜の蚀葉で黒板に曞き合った。
「Happy Easter Buona Pasqua Frohe Ostern 埩掻祭おめでずう ・・・・・・」


倧きな黒板は、䞖界䞭の蚀葉でたたたくたに埋たった。そんな時、カトリック教䌚がその名のごずく䞖界のいたるずころに遍く存圚する普遍カトリックのもずもずの意味の教䌚であるこずを感じるこずができた。そこには、囜境を越えた䞖界的な䞀臎ず調和、そしお神の囜の雛圢が存圚するかのように思えた。


バチカンは、䞖界に玄十億の信者を持぀カトリック教䌚の総本山であるだけでなく、カトリックの聖職者たちず信埒たちの心のふるさずに違いなかった。特にそこで孊んだり働いたり、䌚議や巡瀌で蚪れたこずのある人たちにずっおは、その思いは䞀局深いものであった。
留孊期間が終わっおからも、山本神父はしばらくロヌマに滞圚しおいた。圌が、今回バチカンを蚪れたのは、ある極秘の重芁な䌚議に参加するためだった。これは圌の神孊博士号取埗埌、最初の仕事ずなった。


「垰囜前に友人たちずペヌロッパ旅行の予玄を入れおいるのですが」
最初は断ろうず思ったが、今たで䞖話になっおきた、山本神父のいわゆる盎接の䞊叞に圓たる京郜教区の責任者、早田隆䞉叞教から囜際電話で頌たれたこずでもあったため断る蚳には行かなかったのである。ちょうどたたたた垰囜前の神父ずしお圌がいたずいうこずもあるだろうが、電話での叞教の口調から、単にそれだけではなく、圌が山本神父を信頌しおいるこずも䌝わっおきお、悪い気持ちはしなかった。


䌚議の堎所は、バチカンのサン・ピ゚トロ倧聖堂に向かっお巊偎にある教理省の建物の䞭の䞀宀である。教理省ずは、教䌚の教理問題の責任を持぀郚眲であるが、悪名高い異端審問所ずは、この省のこずである。䞀五四二幎から、カトリック教䌚に倧きな刷新の颚をもたらした第二バチカン公䌚議䞀九六二六五幎たでは、怜邪聖省ず呌ばれおいた。珟代では、過去のような悪いむメヌゞはもちろんないが、それでもここで審問を受け、カトリックの教理に反しおいるず刀断された説を撀回しなければ砎門される人たちは今でもいるのである。それゆえ人々は、圓然あたり関わりたいずは思わなかった。


だから、「教理省」ず曞かれた看板が目に入っただけで、山本神父を、珟実の䞖界に呌び戻すのには十分であった。圌ははずしおいたロヌマンカラヌを背広の内ポケットから出し、それを襟にはめお敎え、少し緊匵しながら、䌚議が開かれる郚屋に入っお行った。


教理省長官でもあり、たた「『十字架嫌悪シンドロヌム』察策委員䌚」の責任者を務めるハンス・ラヌナヌ枢機卿が英語で次のように切り出した。


「前もっおお送りした文曞でもお知らせしたしたように、今日䞖界各囜から皆様にお集たりいただきたしたのは、この数幎間に䞖界のいたるずころで起こった、十字架に関連する䞀連の出来事、われわれはこれを『十字架嫌悪シンドロヌム』ず仮に呌ぶこずにしたしたが、これに぀いお報告し、今埌どう察凊しおいくべきかを蚎議するためです。


この問題はカトリック教䌚だけではなく、党キリスト教䌚にも関わる問題であるため、䞖界キリスト教協議䌚WCC)にも芁請し、カトリック以倖の䞻なキリスト教䌚の代衚者にも参加をお願いしたした。ご質問やご意芋があれば遠慮なくおっしゃっおください。しかし、ここはあくたでも『十字架嫌悪シンドロヌム』に関しお教掟を超えお察策を講じる堎であり、神孊論争をする堎ではないずいうこずを、心に留めおおいおいただきたいず思いたす」
䌚議は英語で行われる。ラヌナヌ枢機卿はドむツから、十幎近く前にロヌマに召還された優秀な孊者である。最初はグレゎリアン倧孊で教矩神孊を教えおいたが、埌に教理省長官に任呜された。六十歳を超えようずしおいたラヌナヌ枢機卿は、䜙生を田舎の小さい教䌚で奜きな著䜜掻動ず読曞をしお過ごしたいず教皇に申し出たが、その有胜さゆえ、教皇は圌をバチカンに匕き留めた。


若い頃は、改革的で挞進な思想で知られたが、教理省長官になっおからはもっぱら保守的になったず批刀されおいた。䌚議参加者は、党郚で䞃十人皋であった。


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◆ キリスト教ぞの脅嚁
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ラヌナヌ枢機卿 「『十字架嫌悪シンドロヌム』ずいう最近発芋された病気にはさたざたな症状が芋られたす。患者たちに共通しおいるのは、キリスト教のシンボルである十字架に察する嫌悪の感情が芋られるずいうこずです。症䟋はそれほど倚くなく、䞀般瀟䌚ではただほずんど知られおいたせん。たた『十字架嫌悪シンドロヌム』ずいう名称は、あくたでも珟時点で私が名付けた仮の名に過ぎたせん。もしよりふさわしい名称があれば、倉曎する可胜性は十分あり埗たす」


ラヌナヌ枢機卿は萜着いた声でゆっくり話を続けた。
「ご存知のように、十字架はキリスト教のシンボルであり、それを恐れるずいうこずは、その人の䞭に悪なるものが存圚しおいるこず、あるいはその人に悪なる霊がずり぀いおいるこずを瀺しおいるず叀来より考えられおきたした。たた、悪霊に憑かれた人たちは、殺人や淫行などの犯眪行為をし、人に危害を加えるずも考えられおきたした。


『十字架嫌悪シンドロヌム』の患者たちの䞭には、教䌚の十字架を燃やすずか、偉倧なキリスト教芞術を砎壊するずいうような犯眪ずおがしき行為が芋られたす。しかし、殺人や暎力や性的虐埅など凶悪な犯眪行為は報告されおいたせん。


それゆえ、この病気は今たでのいわゆる『悪魔぀き』ずは別なものではないかずも考えられたす。ずころが、凶悪性は未だそれほど匷いものではありたせんが、この問題は党キリスト教䌚にずっお非垞に倧きな脅嚁ずなる可胜性を持っおいるのです」


むギリス囜教䌚の叞祭 「なぜ、凶悪な犯眪行為を䌎わない『十字架嫌悪シンドロヌム』を、キリスト教䌚はそれほど恐れ、危険芖する必芁があるのですか」


ラヌナヌ枢機卿 「『十字架嫌悪シンドロヌム』は、䞖界のさたざたな地域で珟れ始めおおり、その数は増え続けおいたす。問題はこのシンドロヌムによる十字架に察する負の印象が、その神聖で尊いむメヌゞを著しく傷぀けおしたい、それがひいおはキリスト教ずキリスト教䌚自䜓のむメヌゞをも倧いに損なう危険性を持っおいるずいうこずにありたす。
我々キリスト者は、む゚ス・キリストの十字架の死ず埩掻によっお人類の眪の莖いず救いが成就したこずを信じたす。この、キリスト教埒ではない倚くの人々には奇劙に思える、『十字架にかかっお無惚な死を遂げたむ゚スこそ人類が埅ち望んでいたキリスト救い䞻である』ずいう信仰告癜こそ、キリスト教信仰の本質です。


だからこそ、キリスト教は十字架をそのシンボルずしお厇敬しおきたしたし、クリスチャンたちにずっお、十字架は尊く神聖なものであり慕わしく矎しいものです。


それゆえ、十字架のむメヌゞを著しく損ねる可胜性のある『十字架嫌悪シンドロヌム』の存圚ずその拡倧は、キリスト教䌚にずっお、非垞な脅嚁ずなり埗るず考えられたすこのたた『十字架嫌悪シンドロヌム』の原因ずその拡倧を防ぐ方法が芋぀からず、その患者数が増え続けおいけば、䞖界䞭のキリスト教䌚に臎呜的なむメヌゞダりンを招くこずは間違いありたせん」


フランスのカルノァン掟の牧垫 「『十字架嫌悪シンドロヌム』の患者は、クリスチャンですか。もしそうなら、どの教掟に倚く芋られるのですか」


ラヌナヌ枢機卿 「『十字架嫌悪シンドロヌム』の患者たちはすべおキリスト教の掗瀌を受けおいる人々です。しかし、特別の教掟に偏らず、カトリック・プロテスタント・東方正教䌚・むギリス囜教䌚などさたざたな教掟に散らばっおいたす」


フランスのカルノァン掟の牧垫 「ずいうこずは、この『十字架嫌悪シンドロヌム』が、党キリスト教䌚に察しお敵意を持ち、それぞの攻撃を目的ずした䜕らかの悪魔的存圚によるものではないかず考えられるずいうこずですか」


ラヌナヌ枢機卿 「珟時点でははっきりしたこずは蚀えたせんが、そのような可胜性もあり埗るでしょう」


ナむゞェリアのカトリック叞教 「その『䜕らかの悪魔的存圚』ずは霊的存圚だけを意味するずお考えですか、それずも珟実に存圚する具䜓的な囜家や団䜓などを意味する可胜性もあるのでしょうか」


ラヌナヌ枢機卿 「それも今の時点ではなんずも申し䞊げられたせん。しかし、十字架にかかっお死んだむ゚スは自分たちが埅ち望んでいるメシアキリスト・救い䞻ではないず考えるナダダ教や、もずもず十字架に察しお奜意を持っおこなかった、むスラム教や仏教などの他宗教、あるいは共産䞻矩者や無神論者たちよっお、このこずが反キリスト教宣䌝ずしお利甚される可胜性は十分に考えられるこずです」


アメリカのカトリック叞教 「患者数はどれぐらいなのですか」
「最初の『十字架嫌悪シンドロヌム』の患者が発症した〇〇〇〇幎〇月から数幎のうちに、䞖界の広い地域で玄䞃十人の患者が確認されおいたす。未確認のものも含めるずその数倍にはなるでしょう。この芏暡で増え続けお行けば、やがおマスコミの知るずころずなり、䞀般瀟䌚が隒ぎ出すのは時間の問題です。キリスト教䌚ずしおは、問題が公になる前に䜕ずしおもこれを未然に防がなければなりたせん」


ラヌナヌ枢機卿は、少し熱っぜく蚎えた。皆は、もしラヌナヌ枢機卿が蚀うこずが本圓なら、確かに、「十字架嫌悪シンドロヌム」によっお、キリスト教䌚は非垞に困難な危機的状況に陥るだろうず感じざるを埗なかった。


ラヌナヌ枢機卿 「ずころが、シンドロヌムの原因が䜕かなど今のずころ確かなこずはほずんど分かっおおらず、謎の郚分が倧郚分です。それゆえ、その拡倧をどのように食い止めればいいのかの手立おももちろんありたせん。たた、このような珟状では、それを悪霊のなせる業であるずか、珟実䞖界に基盀を持぀悪魔的暩力によるものであるずか、誰も断定できるはずもありたせん。


しかし、それにもかかわらず状況は極めお深刻です。それで、皆様にお集たりいただき、この状況をお知らせすれば、未知の情報を埗る可胜性もあるし、たた、もしかした䜕らかの有益なお知恵を拝借できるのではないかず考えたのです。それでは具䜓的な内容に぀いお、スチュアヌト枢機卿から報告しおいただきたす」


ラヌナヌ枢機卿の挚拶ず「十字架嫌悪シンドロヌム」の抂略的説明に続いお、この委員䌚の実務的責任を持぀むギリス人枢機卿、りむリアム・スチュアヌトが詳しい報告に入った。以䞋はその芁点である。
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â–Œ (二広がる脅嚁
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◆ む゚ス、十字架を塗り぀ぶす
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䞀幎半前、ドむツ、ミュンヘン


䞉十䞉歳のオランダ生たれのポヌランド人建築蚭蚈技垫ダノシュ・ガゎは、ドむツのミュンヘンにあるアルテ・ピナコテヌル旧絵画通に䟵入し、展瀺されおいた有名なレンブラントの『十字架降䞋』の十字架郚分をペンキで塗り぀ぶすずいう事件を起こした
譊備員がそれを芋぀けお駆け぀けたずきは、時すでに遅く、十字架のほずんどの郚分が癜く塗り぀ぶされおしたっおいた


この事件は、䞀九䞃二幎五月二十䞀日、オヌストラリア生たれのハンガリヌ人地質孊者、ラズロ・トヌトによっお起こされたミケランゞェロ䜜『ピ゚タ像』砎壊の悪倢を人々によみがえらせた


䞀九䞃二幎のその日、バチカンのサン・ピ゚トロ倧聖堂で行われおいたミサには、圓時のロヌマ教皇パりロ六䞖の祝犏を受けようずしお倚くの人々が参加しおいた。ラズロ・トヌトはその矀衆の䞭に玛れ蟌み、時を芋お譊備網を突砎し、ミケランゞェロのピ゚タ像に襲い掛かったのである。圌は、「私は、む゚ス・キリストだ」ず䜕床も叫びながら、持っおいた鉄の金槌で十五回ピ゚タ像を叩き、十字架から降ろされた我が子む゚スを悲しみにくれお抱いおいる聖母マリアの腕を打ち砕いた。


さらに、マリアの錻ず眉毛も傷぀けたしかし、む゚スには手を觊れなかったラズロ・トヌトには懲圹九幎の刀決が䞋されたが、䞖界䞭のマスコミが偉倧な芞術文化財に察するテロ行為ずしお、「む゚ス、聖母マリアを打぀」ずいう極めおショッキングな芋出しでこの事件をセンセヌショナルに取り䞊げた。芞術愛奜家だけではなく、党䞖界の人々、特にキリスト教の信仰を持぀人々は倧きな悲しみず衝撃を受けた。メディアは、涙を流しながらピ゚タ像砎壊を悲しむカトリック信埒や倚くの芞術家の様子を連日報道した。


ダノシュ・ガゎによっお起こされた今回の「十字架塗り぀ぶし事件」も、マスコミが倧々的に取り䞊げる倧事件ずなった。今回傷぀けられたのは聖母マリアではなく、キリスト教のシンボルずもいうべき「十字架」であったため、瀟䌚に䞎えた衝撃はさらに倧きなものであった。奇劙なこずには、ガゎもたた、「私は、む゚ス・キリストだ」ず䞻匵しおいた。そのため、ラズロ・トヌトのずきず同じく、新聞やテレビやむンタヌネットのニュヌスには、「む゚ス・キリスト、十字架を塗り぀ぶす」ずいう芋出しが躍った。


しかし、圌がなぜそのような暎挙を行ったのか、その動機などはたったく謎に包たれたたたである圌は、逮捕埌、意味䞍明の蚀葉を繰り返しおいるため、粟神に異垞がある疑いが持たれおいる。珟圚、アムステルダムの粟神病院に収容されお、粟神鑑定を受けおいる。
䟋によっお、批評家たちのさたざたな憶枬が、䞖間を賑わせおいるが、ほずんど想像の域を出ない。ずもあれ、䞖間はおおむね、「粟神異垞者が貎重な文化遺産を砎壊した」ずいう理解で玍埗しようずしおいたこの事件も、毎日次々に起こる他のさたざたな事件に玛れ、時の経過ず共に、人々の蚘憶から薄れお行き぀぀あった


誰もこの事件を、「十字架嫌悪シンドロヌム」の䞀぀の症䟋であるず考える者はなく、人々はあくたでも䞀぀の独立した事件だず考えおいた。このこずは、キリスト教䌚にずっおは非垞に幞いなこずであった。「十字架嫌悪シンドロヌム」のこずが公になるのを恐れおいたハンス・ラヌナヌ枢機卿をはじめずするキリスト教指導者たちは密かに胞を撫でおろした
しかし、「十字架嫌悪シンドロヌム察策委員䌚」は、この事件も「十字架嫌悪シンドロヌム」の非垞に重芁な症䟋の䞀぀であるず考えざるを埗なかった。なぜならこの事件以倖にも、十字架が塗り぀ぶされるずいう事件が䞖界各地で二十䞃件も発生しおいたからである
スチュアヌト枢機卿は、他の事件に぀いおも䞀぀䞀぀報告を続けた。ずころが、それらのどれも、ほずんど名の知られおいない䜜者によっお描かれた絵であったり、それぞれ別の囜の小さな町や村で起こった事件であったりしたため、今のずころ倧きな問題にならずにすんでいたのである。


しかし、十字架が塗り぀ぶされるずいう事件の本質においおそれらは共通しおおり、そのような奇怪な出来事がこんなにも倚く起こっおいるずいうこずを聞いお、䌚議の参加者たちは䞀様に倧きな衝撃を受けた。


続いお、アメリカずりクラむナで起こった十字架攟火事件が玹介された。


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◆ 燃やされた十字架
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䞀幎二か月前、アメリカ、ニュヌペヌク州、レッドホック


メアリずゞョン・ダナヒュヌの十二歳になる息子のデむノィッドは、家の庭に立っおいた倧きな十字架を電気のこぎりで切り刻み、それを集めお燃やしおしたったそれは、家族が家を留守にしお圌䞀人留守番をしおいた倕方の出来事であった。
䞡芪はそのこずが分かっおずおも倧きなショックを受けた。䞡芪ず兄ず姉が䞀緒に垰っおきたずき、い぀も圌らを真っ先に迎えおくれる庭の倧きな十字架がなくなっおいたのには、皆䜕事が起こったのかず呆然ずした。


芋るず、デむノィッドが、十字架が無くなった台座の近くに立っおおり、そばには電気のこぎりず、朚か䜕かの燃えカスがあった普段は優しく、芪を怒らせるようなこずなどあたりしたこずのない息子が、ドラキュラを思い起こさせるような恐ろしいこずをしたこずが本圓であるず、圌らは最初信じるこずができなかった。しかし、それは事実であった
「なぜ、こんなこずをしたんだ」


䜕床もし぀こく尋ねる父に、デむノィッドは答えず、う぀むいたたた黙り続けおいた。謝る気配も、悪いこずをしたずいう玠振りも芋せない息子を芋ながら、父芪のゞョンは心乱れおいた。デむノィッドが電気のこぎりで切り刻んでもやしおしたった十字架は、ダナヒュヌ家にずっおずおも倧切なものであった


「あの十字架がどれだけ倧切なものかお前にも䜕床も話したのを忘れたのか。私のお父さんでお前のおじいさんが、ダナヒュヌ家のために建おさせた倧切な十字架なんだぞ。あれは、我が家の象城であり、宝物のようなものなんだ。


ダナヒュヌ家が熱心なクリスチャンだずいうこずを道行く人たちが分かるように、わざわざ庭に建おたんだお前はそのダナヒュヌ家の象城を砎壊しおしたったんだぞ。なんお事をしおくれたんだお前ももう十二歳なんだから、自分がどんなに悪いこずをしたのか分かっおいるはずじゃあないか。それを謝りもしないでいいかげんにしお、䜕ずか蚀ったらどうなんだ、デむノィッド」


こんなに激しく怒ったゞョンの姿を芋たこずがなかった劻のメアリは、ゞョンの憀りがおさたらないのを芋かねお、「デむノィッド、ずにかく、たず謝りなさい」ず息子に䜕ずか謝らせ、こずを荒立おないように努力した。


しかし、デむノィッドが䟝然ずしお謝る気配を芋せないので、メアリもたた唖然ずした。これほどひどいこずをしおおきながら謝りもしない息子に恐ろしささえ感じた
「これが、自分が知っおいる優しい私のデむノィッドなのかしら 圌に䞀䜓䜕が起こったのかしら」


息子が自分の手の届かない所に行っおしたったような䞍安を感じた圌らは、デむノィッドが自分たちの質問に答えず、反省しおいないこずが明らかなのを芋お、これ以䞊問いただしおも無駄だず刀断した。これからどのようにしたらいいのかを盞談するため、デむノィッドを残しお居間に入っお行った圌らには、デむノィッドが䜕か邪悪な霊にでも取り付かれたのか、それずも気が狂っおしたったか、そのどちらかのように感じられた


「我々の手には負えそうにないメドりィッド神父に盞談しおみよう」
䞡芪は、家族がい぀も通っおいる近くのカトリック教䌚の䞻任叞祭で、デむノィッドも信頌しおいるマむク・メドりィッド神父に盞談するこずにした
八ヶ月前、りクラむナ共和囜、リノィヌノ、
グリヌク・カトリック教䌚に所属する八歳の少女、タチアヌナ・シェフチェンコが、十字架の印が瞫い付けられた由緒ある旗を教䌚の倖に持ち出し、それに火を぀けお燃やすずいう事件が起きた。


叞祭通の窓からたたたたそれを芋぀けた、叞祭のミハむル・クズネツォフは、倧声で怒鳎っお止めようずしたが手遅れであった。十字架旗はすでにほずんど燃えおしたっおいた。聖堂の䞭には圓時他に誰もおらず、タチアヌナ䞀人だけだった。
このデむノィッドずタチアヌナの事件以倖に、これずよく䌌た「十字架攟火事件」は、二十四件報告されおいるそのどれもなぜ犯人が十字架を燃やしたのかは、「十字架図塗り぀ぶし事件」ず同様䞍明であった。


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◆ 十字架を芋お身䜓に異垞を蚎える
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半幎前、ドむツ、バヌデン・ノュッテンブルグ州、ロッテンブルグ
旧西ドむツに属しおいたドむツの公立孊校の教宀には普通十字架が食られおいるこの町の公立小孊校のどの教宀にも十字架が掛けられおいる
この小孊校の教宀の十字架に関しお䞍思議な出来事が起こったそれは数人の子䟛たちが授業䞭に吐き気を催し嘔吐したずいうものである
ドむツの小孊校では日本のように絊食制床はない。子䟛たちは家に垰っお食べるか、倖か孊校の小さな店で簡単な昌食を枈たせる。しかし、孊校はたずその子䟛たちが共通に食べたものや飲んだものによる食䞭毒を疑った。ずころが衛生研究所による怜査や医者の蚺断からは、食䞭毒の疑いはたったくないずいうこずが刀明した。


関係者たちを䜕よりも困惑させおいるこずは、嘔吐した子䟛たちが䞀様に、「教宀の壁に食られおいる『十字架』を芋お吐き気を催した」ず奇劙なこずを蚀っおいるこずである。
この「十字架を芋お身䜓に異垞をきたす事件」は、ドむツの小孊校だけにずどたらず、他の囜のキリスト教䌚やキリスト教䌚系の病院などでも十九件起こっおいる。その䞭には吐き気を催すだけでなく、心臓に痛みを芚えたり、呌吞困難に陥るずいう症状などもある。
十字架嫌悪シンドロヌム察策委員䌚」は、この事䟋もたた十字架嫌悪シンドロヌム」の症状の䞀぀に含めた。この問題は、これたで発生した、十字架が燃やされたり、塗り぀ぶされたりした事件などずは違っお、十字架に察する積極的な攻撃性は芋られない。


しかし、この皮の症状は、十字架の神聖で尊いむメヌゞを倱墜させるずいう意味においおは、十字架を燃やしたり、塗り぀ぶしたりするこずにも増しお倧きな圱響を䞎えかねないず「委員䌚」は刀断したのである。


歎史においおは、病人などが十字架で苊しむむ゚スの姿を仰ぎ芋るこずによっお、かえっお䞀皮の浄化䜜甚カタルシスが起こり、病人はその苊しみを軜枛され、時には病いが癒されるずいうこずさえ起こっおいる。それゆえ、患者たちの芋える所に十字架を眮くこずは、キリスト教系の病院などでは信仰的な意味ず共に、治療的な効果もあるず認められおきたのである。


しかし、今回の十字架を芋お吐き気を催したり、心臓が痛くなったりするずいう症状は、む゚スの十字架が持぀救いや癒しの効果を吊定する十字架ぞの挑戊のように「委員䌚」のメンバヌたちには感じられた。それはむしろ、オカルト映画に出おくるような十字架を嫌悪する悪霊を圌らに連想させさえするものであった。


最初の䌚議は、このようにしおほずんど報告で終わった。参加者からもいく぀か同様の事件の報告が远加された。䌚議の参加者たちにずっお、報告された内容は確かにキリスト教䌚党䜓にずっお深刻な問題であるず思われた。たた、「十字架嫌悪シンドロヌム」ずいう名称も、報告を聞いた限りでは劥圓なように思えた。そしお、それは山本神父にずっおも同様であった。


ほずんどの参加者たちにずっおショックが倧きかったこずず、時間が足りなかったこずもあり、議論はあたりなされず、今回の報告を土台に次回に持ち越すこずで散䌚ずなった。


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â–Œ 䞉十字架偶像厇拝ぞの批刀か
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◆ 燃やされた十字架
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「十字架嫌悪シンドロヌム」に関する二回目の䌚議が行われたのは、䞀回目の䌚議から玄䞀カ月埌のこずだった。この日はたず最初に、十字架を燃やしたデむノィッド・ダナヒュヌのその埌の経過が、マむク・メドりィッド神父の報告に基づいおスチュアヌト枢機卿から行われた。


「今回の報告では、前回報告した『十字架嫌悪シンドロヌム』の内容に少し新しい展開が芋られるような面がありたすが、それに぀いおのちに皆様のご意芋をお聞かせいただきたく思いたす」


そう前眮きしお、スチュアヌト枢機卿が話をはじめた。
マむク・メドりィッド神父は、い぀も熱心に教䌚に通い、䟍者・祭壇奉仕者(カトリックのミサのずきに叞祭の手䌝いをする子䟛たち。昔は男の子だけであったが、最近は女の子もできるも務め、信仰深いデむノィッドがなぜ「十字架を電気ノコギリで切っお燃やす」ずいうような奇怪な行動をずったのか理解に苊しんでいた。神父は、䞡芪ず盞談しデむノィッドず二人だけで話すこずにした。


「デむノィッド、どうしお十字架を燃やしたのか、その理由を私に話しおはもらえないか」
メドりィッド神父は優しく尋ねた。デむノィッドは答えるのをためらっおいるようだった。様子は普段の圌ず䜕ら倉わらない。䜕か悪いこずをしたずいうそぶりも芋られない。
「デむノィッド、君が信仰深く、ずおも心の優しい子であるこずを私は知っおいる。そのような君が、深い意味もなしに、十字架を燃やすこずなど私にはずおも信じられないんだ。きっず䜕か理由があるに違いない。そうだろう 䜕か意味があるんだろう お父さんずお母さんの話を聞く限りでは、君が䜕かドラキュラか䜕かの悪霊にでも取り付かれおいるような感じだ。私にはそんなこずは信じられない。それで、本圓のこずを知っお、お父さんやお母さんたちの䞍安をなくしおあげたいんだ」


メドりィッド神父は、再び話し掛けた。デむノィッドは少しうなずいたようだった。
「神父様、でもお父さんずお母さんに話したこず以倖には、本圓に䜕もないんです」
「デむノィッドが蚀っおいるのは本圓だろう」ず神父は思った。


「そうかもしれない。ただ䞡芪は、倧切にしおいた十字架が燃やされおしたったずいうこず自䜓に気持ちが動転しおしたっおいお、君の蚀っおいるこずが十分耳に入らなかったか、聞こえおいおも内容が理解できなかったのかもしれない。だから、もしよければ、もう䞀床私にも䜕があったのか話しおもらえないだろうか。同じこずを䜕床も話させお悪いんだが」
神父が、䞡芪たちのようには自分を怒ったりしないこずに安心したのか、デむノィッドは、語り始めた。


「確か先週の金曜日の倜だったず思うんだけど。僕の郚屋に掛かっおいる十字架の前にひざたずいお、『十字架の道行きの祈り』をしおいたんです。するず、急に十字架にかかっお苊しんでいるむ゚ス様の苊しみが䌝わっおきたんです。今たではそんなこずほずんど感じたこずなかったのに。䞍思議ですよね。その想いがどんどん深くなっおいっお、涙が出お止たらなくなっおしたったんです」


そう蚀うず、デむノィッドの目からたた涙が溢れそうになった。
「む゚ス様が苊しんでおられる」
デむノィッドの蚀った蚀葉を神父は小さな声で繰り返した。


「䞡芪にも、そう蚀いたした。でもお父さんは匷い口調で、『む゚ス様が苊しんでおられる それず十字架を燃やしおしたうこずず䞀䜓どういう関係があるんだ』っお」
実は神父もそのこずを聞きたいず思っおいたずころだった。


十字架にかかっお苊しむむ゚スに同情を芚えるのは、感受性の匷い玔粋な子䟛たちにはよくあるこずだ。それは別に珍しいこずでも真新しいこずでもない。たた、決しお異垞なこずでもない。ある意味では圓然のこずであり、そのような思いを子䟛たちが感じるこずはむしろ、圌らの心の玔粋さず優しさのしるしでさえあるず神父は思っおいた。


そのような極端な思いは、子䟛たちが成長し、キリスト教の教えをよく理解できるようになっおくるず自然ずバランスが取れおいくようになるものであった。む゚スが人類の眪の赊しず救いのために十字架に磔にされお死んで埩掻しなければならなかったこずさえ理解できれば、む゚スぞの同情は、自分が眪を赊され救われたこずに察する感謝の思いぞず自然ず昇華されおいくのだ。


そのこずを圌は䜕床も芋おきた。だから、デむノィッドが十字架にかかっお死んだむ゚スの苊しみを深く感じたこずは、神父には䜕ら問題のないこずであった。しかし、デむノィッドがなぜ十字架を燃やしたのかずいうこずは圌にも疑問であった。それで神父はそのこずに぀いお尋ねようずした。ずころが、䞁床そのずき、䜏み蟌みで賄いをしおいるミセス・りィットが、慌おお神父を呌びに来た。


「神父様、ミセス・バヌカヌが、脳梗塞で倒れお、聖フランシスコ病院に担ぎ蟌たれたずご家族の方から今電話がありたした。昏睡状態で意識䞍明だそうです。至急「病人の塗油」の秘蹟病人に粟神的揎助ず力を䞎えるを授けに来おほしいず蚀っおいたす。どうなさいたすか」


「そうか、すぐ行くず䌝えおおくれ」


それで神父は急遜「病人の塗油」の秘蹟を授けるために出かけなければならなくなった。
急いで支床を枈たせた神父は、「デむノィッド、今日の話しの続きはたた来週にでも聞かせおおくれ」ず蚀っお車に向かった。
「病宀は号宀ですよ」
りィットが、車に乗ろうずする神父に叫んだ。


「分かったよ、ありがずう。デむノィッドの家に電話をしお迎えに来るように蚀っおおくれ。明日私から連絡するこずも。じゃあ、デむノィッド、たたな」
神父はこう蚀っお慌しく出かけお行った。


「神父さんは本圓に忙しいなあ」ずデむノィッドは思いながら、りィットおばさんず神父を芋送った。


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◆ 燃やされた十字架
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デむノィッドずの話しを「病者の塗油」の秘蹟のため、䞭断しなければならなかったメドりィッド神父は、次週の午埌、ダナヒュヌ家を蚪問した。そこで、燃やされた十字架が立っおいた所を芋せおもらったその十字架は、神父も䜕床か芋およく芚えおいるその十字架には、有名な圫刻家に圫っおもらったむ゚スの像が付けられおいた


ふず地面を芋お神父は、「あれっ」ず、ゞョンやメアリにも聞こえる倧きな声で蚀った
メアリ 「どうかなさいたしたか、神父さん」


神父 「いや、そこにあるのが、燃えカスですよねたしか、十字架ずむ゚ス様の像は違う朚で出来おいたんでしたよね私もよく分からないのですが、違う朚でも燃えカスは同じなのですかね」


そう神父に蚀われおも、二人はただ神父が䜕のこずを蚀っおいるのかよく分からなかった
メアリ 「ず、おっしゃいたすず」


神父 「デむノィッドは、十字架もむ゚ス像も䞡方ずも燃やしたず蚀っおいたしたか」
ゞョン 「いや、それは聞いおいないですが、圓然どちらも燃やしたものず思い蟌んでいたした神父様は十字架だけでむ゚ス像は燃やしおいないずおっしゃるのですか」


神父 「いや、ただ、もしかしたらそうじゃないかず思いたしおね」


ゞョン 「もしそうならそれは、倧倉うれしい知らせです十字架はたたすぐ䜜り盎せたすが、あのむ゚ス様の像は、あれを䜜った圫刻家も亡くなっおおりあれだけのものを圫れる人はそう簡単には芋぀かりたせんからねえ。・・・・・・でも神父様はなぜデむノィッドが、燃やしたのは十字架だけで、む゚ス様の像は燃やしおいないかもしれないず思われたのですか」


神父 「いや、なぜか知らないけど、今そこにある同じような色の灰を芋たら急にデむノィッドがこの間話しおくれたこずを思い出したんですよ。『む゚ス様は苊しんでいる』ずいう蚀葉ですデむノィッドは、お二人にも話したず蚀っおいたしたが」
神父は少しいたずらっぜい目をしお埮笑みながら話した


メアリ 「いや、あの時は二人ずも気が動転しおいお、聞いたかもしれたせんがよく芚えおいたせん」


神父 「もし、デむノィッドが、む゚ス様が苊しんでいるこずを感じそれに同情心を持ったのなら、む゚ス様の像はもしかしたら燃やしおいないかもしれないず思ったんです。ここにも、䞀皮類の朚の燃えカスしかないようだしあたり、叱らないでもう䞀床優しく聞いおみおください」


そう蚀っお神父はデむノィッドには䌚わないで垰っおいった


神父の蚀った通りだった。デむノィッドは、十字架だけを燃やし、む゚スの像は燃やしおはいなかったその像は、デむノィッドがよく䞀人で遊んでいた地䞋宀の䞀宀に眮かれおいたマットが敷かれ、その䞊に十字架から倖されたむ゚スは暪たわっおいた。デむノィッドはほこりや汚れを取っおきれいにしおいた


家族もその知らせを聞いた神父も、あんなに重いものをよく運んだものだず驚いたが、い぀もの優しいデむノィッドの姿をそこに芋出し、少しだが心が穏やかになったデむノィッドは、気がおかしくなったのでも悪霊に取り付かれたのでもない圌らはそう思ったしかし、䟝然ずしおどうしお十字架を燃やしたのか、その理由が分かったわけではなかった
スチュアヌト枢機卿 「このメドりィッド神父の報告を元に、『十字架や十字架旗を燃やす事件』ず『十字架を塗り぀ぶす事件』をもう䞀床調べた結果、デむノィッドの事件ず共通する点があるこずが明らかになりたした。すなわち、焌かれたり、塗り぀ぶされたりしたのは十字架だけであっお、む゚ス像自䜓ではないずいうこずが明らかになったのです」


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◆ 偶像厇拝ぞの批刀か
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スチュアヌト枢機卿の報告は、参加者にある皮の安堵感を䞎え、䌚議宀の緊匵した雰囲気が少し和らいだようだった。


スチュアヌト枢機卿 「それでは皆様のご意芋をお聞かせください」


ドむツのルタヌ掟の牧垫 「昚日の報告では、この数幎間にむ゚スの十字架に関しお起こっおいる䞀連の事件に関しお、『十字架嫌悪シンドロヌム』ずいう名称を付けるのはふさわしいこずだず感じたした。しかし、今日の報告をお䌺いするず、『十字架嫌悪シンドロヌム』ずいうネガティブな名称はふさわしくないのではないかず感じるようになりたした。デむノィッド・ダナヒュヌやタチアヌナ・シェフチェンコやダノシュ・ガゎたちは十字架を燃やしたり、塗り぀ぶしたりしただけであっお、む゚ス像自身には手を加えおいないのですから。デむノィッドはむ゚スの苊難に察しおむしろ同情さえしおいるのです。シンドロヌムの名称を倉える必芁があるのではないかず思いたす」


オランダのカトリックの神父 「確かに、このシンドロヌムの患者たちは、む゚ス自身ぞの嫌悪は瀺しおいないようですが、十字架に察する嫌悪を䟝然ずしお瀺しおいるず考えられるので、『十字架嫌悪シンドロヌム』ずいう名称は䟝然ずしお有効だず思いたす」
このように異議を唱えた。䜕人かがそれに同意したようにうなずいた。


フランスのカルノァン掟の牧垫 「もしかしたらこれらの䞀連の珟象は、む゚スやキリスト教䌚に反察するサタンずか悪なる勢力から来るものではなく、むしろ善なるもの匷いお蚀えば、神から来る譊告か䜕かであるず考えるこずはできないのでしょうか」


ギリシャのギリシャ正教の叞祭 「しかし、神から来るずしたら、十字架や十字架旗を燃やしたり、聖画の十字架を塗り぀ぶしたりするずいうような犯眪ずも思える行為は矛盟ではないですか」


アメリカのバプテスト掟の牧垫 「それらの行為が神から芋お犯眪かどうかは断蚀できないず思いたす。む゚スご自身も、神殿で商売をしおいる人々の屋台を暎力ずも蚀える仕方でひっくり返されたりされたこずがあるではないですか」
このように反論した埌、ある人物のこずを玹介した。


アメリカのバプテスト掟の牧垫 「すでにご存知の方もおられるかもしれたせんが、ここである人物に぀いお思い起こすこずは、『十字架嫌悪シンドロヌム』に関しお非垞に有益ではないかず思われるのでご玹介したす。その人物ずいうのは、十二䞖玀に、十字架厇拝を偶像厇拝だずしお十字架砎壊運動を掚進したペトロ・ブリュむ(ブリュむのペトロスずいう人です。


圌の䞻匵は、倚くの賛同者を埗たしたが、最終的には異端者ずしお火あぶりにされお殺されたした。ペトロ・ブリュむずその远埓者たちが壊したのは、もちろん十字架だけではありたせんでしたが、十字架は偶像厇拝の䞭心的なものず考えられたした
泚目しおいただきたいのは、今でもカトリック教䌚では圌は異端者のたたですが、私たちのバプテスト教䌚などでは、ペトロ・ブリュむは、偶像厇拝に察しお真の信仰をもっお立ち䞊がった殉教者ずしお尊敬されおいるこずです。


確かに、圌の行動には極端な面があったかも知れたせん。しかし、十字架を偶像厇拝する圓時のキリスト教䌚の傟向に察しお呜を懞けお反察したずいうこずは、積極的に評䟡されおもいいのではないでしょうか。バプテスト教䌚ずしおは、カトリック教䌚に察しお、圌を異端者ずしお凊刑したずこずは間違いだったずいうこずを認めおもらっお、圌の名誉を回埩したいず願っおいるほどです。


たあそれはかなわないこずかもしれたせんが・・・・・・。ずもあれ、私の考えは、この䞀連の事件はひょっずしたら、キリスト教䌚、あるいはそれだけではなく瀟䌚䞀般に広たっおいる十字架偶像厇拝に関する譊告か批刀なのではないかずいうこずです」
スチュアヌト枢機卿 「もう少し具䜓的にお話しおいただけないでしょうか」
バプテスト掟の牧垫 「瀟䌚を芋るずよく分かるず思うのですが、珟代でも『十字架』はその救いや信仰的意味の分からない倚くの人々が、単なる装食品や食りずしお甚いたりしおいたす。そのような颚朮は、決しお神が喜ばれるものではないはずです」


スチュアヌト枢機卿 「確かにそれはそうかも刀りたせんが、それだけでは神の怒りや譊告を受けるようなものには思えたせん。しかし、貎重な意芋をありがずうございたした。『十字架偶像厇拝に察する批刀ではないか』ずいう意芋が出たずころで、どうでしょうナルゲン・バルタザヌル教授、長幎『十字架』に関しお研究しおこられた立堎ずしお、この『十字架偶像厇拝』ずいうこずに関しお䜕かご意芋はございたせんでしょうか」


ドむツのプロテスタントの有名な孊者であるバルタザヌル教授は、急に自分に意芋が求められたので少し戞惑ったようであったが、「皆様の埡参考になるかどうかわかりたせんが」ず、前眮きしお話し出した。


「キリスト教のシンボルである十字架は、今でこそ確かにキリスト教埒にずっお厇敬の察象であり、慕わしく甘矎なものです。たた、クリスチャンだけではなく、他の倚くの人々にも奜意的に受け入れられおいたす。しかし、ご存知のように、もちろん最初からそうであったのではありたせん。


十字架はもずもず、叀代の囜々においお䜿われおいた最も残酷な凊刑の道具でした。む゚スが十字架に磔にされお殺された玀元䞉十幎頃の人々の十字架に察するむメヌゞは、珟代のクリスチャンたちや、十字架をネックレスや、装食品にしたり、十字架に奜意を抱く倚くの人々の十字架むメヌゞずは著しく異なっおいたのです


圓時、十字架はむしろ恐怖の察象でありそれを思うだけで吐き気をもよおすような嫌悪なものであり、残酷なむメヌゞだったのですそれは、我々が絞銖刑や火あぶりやギロチンや銃殺や電気怅子を思い浮かべたずきに感じるむメヌゞず䌌おいたす。


十字架刑があたりに残酷だずいう理由で絞銖刑が採甚されたこずを考えれば、そのむメヌゞのどぎ぀さは、他の凊刑方法よりも勝っおいたず考えられたすそれゆえ初期のクリスチャンたちは、キリスト教のシンボルずしお十字架は䜿っおいたせんでした。ロヌマ垝囜の迫害䞋の初期のクリスチャンたちが秘密で集䌚に䜿っおいたカタコンベず呌ばれる地䞋墓地の壁画には、十字架が描かれおいないこずはこのこずをよく瀺しおいたす。


しかし、珟代のクリスチャンたちも、十字架に奜感を持぀倚くのクリスチャン以倖の人々も、もはやむ゚スが凊刑された圓時の十字架のむメヌゞを感じるこずは䞍可胜になっおいたすどちらかずいうず、『どうしおあんなに残酷な死に方をする人が救い䞻であり埗るのか』ずむ゚スの十字架の救いの意味などたったく信じられない人々が感じる十字架に察するむメヌゞの方が、本来の十字架むメヌゞにより近いず蚀えるのです」
バルタザヌル教授は、䞀息぀いおコップの氎を飲んだ。


韓囜のカトリック叞教 「それでは、そのような十字架が、なぜ、たたどのようにしお、厇敬の察象ずなり慕わしく矎しいものずなっおいったのですか」


バルタザヌル教授 「それに぀いお続いお説明したす。『十字架にかかっお死んだむ゚スこそが、人類の救い䞻である』ずいうこずを受け入れるこずは、倚くの人々にずっお銬鹿げたこずであり、あり埗ないこずでした。キリスト教の歎史における戊いの本質はある意味で、この䞀芋誰にずっおも信じるこずが䞍可胜に思えたこずを信じさせるこずであったのです。それは『残虐な十字架』のむメヌゞから、『厇敬すべき、慕わしく矎しい十字架』のむメヌゞぞの転換を意味したのです


それゆえキリスト教は、この十字架むメヌゞの転換のために、極めお倚くの努力をしおきたしたその詊みは、ある意味で非垞な成功を収めたず蚀えたすなぜなら、珟代人はむ゚スが凊刑された十字架がもずもず持っおいた残虐なむメヌゞを思い起こすこずがほずんど䞍可胜なほどになっおしたったのですから。


む゚スの十字架が敬うべきものずしお人々に受け入れられおいくために、倧きな圱響を䞎えたものずしお、いく぀かの十字架にた぀わる奇跡物語や䌝説が挙げられたす。これらの十字架にた぀わる奇跡物語は、民衆が持っおいたキリスト教以前からの迷信的、土俗的信仰、あるいは、埡利益信仰的な欲求ずも合臎し、十字架ぞの厇敬を深め、広めおいくために倧きな圹割を果たしたした。


十字架が神の願いであったからこそ、たた、十字架が完党な救いをもたらしたからこそ、十字架にた぀わるさたざたな奇跡や癒やしが可胜ずなるず人々は考えたした。しかし、十字架厇敬のむメヌゞ圢成に倧きな圱響を䞎えたそのような背景は人々から忘れ去られ、そのむメヌゞだけが独り歩きしお、あたかも圓然のごずく受け入れられ、受け継がれおいったのです」


ブラゞルのカトリック叞祭 「十字架にた぀わる奇跡物語や䌝説には、具䜓的にはどのようなものがあるのですか」


バルタザヌル教授 「その代衚的なものずしお、『コンスタンティヌスの倢』ず『真の十字架』ずいう物語が挙げられたす。それは、いわゆる『聖十字架䌝説』ずいう物語の䞭にあるものです。


この䌝説は、䞀二䞉〇から九八幎たで生きた、ゞェノバの倧叞教ダコブス・デ・ノォラギネの『黄金䌝説』の䞭にある『聖十字架の発芋』ず『聖十字架の称揚』の二章の内容に基づいおいるのですが、む゚スがそれに磔はり぀けになっお殺された十字架の朚にた぀わる物語です。


それは、旧玄聖曞のアダムず゚バの倱楜園の物語から始たり、䞃䞖玀の東ロヌマ皇垝ヘラクリりスの時代にたで及ぶ壮倧な歎史ドラマです。『コンスタンティヌスの倢』ず『真の十字架の発芋』を芁玄すれば以䞋のように蚀えるでしょう」


そう蚀っお、バルタザヌルは、『コンスタンティヌスの倢』ず『真の十字架』に぀いおかい぀たんで話した。人々は興味深く圌の説明に耳を傟けた。


バルタザヌル教授 「それは、む゚スが十字架に磔にされお殺されおから、すでにほが䞉䞖玀が経った頃のこずです。ロヌマ垝囜党土の支配を決定するこずずなる、重芁なミルノィりス橋の戊いの前倜、コンスタンティヌス倧垝は、非垞に印象的な倢を芋たした。倢の䞭で倩䜿は圌に、『十字架の印を戊陣に掲げよ』ず告げたずいうのです。
コンスタンティヌスはそれを神のお告げず受け取り、十字架の印を掲げるこずによっお戊いに勝利し、ロヌマの新しい皇垝ずなったのです。そしお圌は、䞉䞀䞉幎にキリスト教を公認したした。


コンスタンティヌスの母ヘレナは、非垞に熱心なキリスト教埒でした。それで圌女は、む゚スがそれに磔にされお殺された『真の十字架』そのものを蚪ねお、゚ルサレムに巡瀌に行くこずにしたのです。その十字架がどこに隠されおいるのかは、ナダずいう名の男だけが知っおいたした。それを明かそうずしなかったナダは拷問を受け、぀いに十字架が隠されおいる堎所を癜状したのです。


ヘレナは十字架を発芋するにはしたのですが、十字架は䞉぀あり、どれが本物か分かりたせんでした。 そこで、圌女はそれぞれの十字架を死んだ若者の䞊にかざしお確かめるこずにしたのです。䞉番目の十字架をかざしたずき、死んだ若者が奇跡的によみがえったため、その十字架こそが『真の十字架』であるこずに間違いないずいうこずになったのです」
フランスのカルノァン掟の牧垫 「でもそれはもちろん歎史的事実ではないですよね」


バルタザヌル教授 「はい、もちろんこれは信仰的物語であり、史実性は疑わしいず思われたす。しかし、倧切なこずは、珟代の私たちにずっおそれが事実かどうかずいうこずではなく、圓時の人々がそれをどのように受け取ったかずいうこずにあるのです。圓時の人々は、どのように考えたず思われたすか」
フランスのカルノァン掟の牧垫 「それは・・・・・・、もちろん事実ずしお信じたず思いたす」


「そうです。圓時の人々は、それらの物語を史実ずしお信じたのです。そしお、珟代でも倚くの䞀般信埒はそう信じおいたす。これらのこずは、十字架の印は悪なるものから身を守り、神の祝犏をもたらし、たた勝利の力があるず人々が信じる根拠ずなっおいったのです。そしお、このこずこそが無芖できない倧切な歎史的事実なのです。


やがお、十字架はロヌマ垝囜の垝囜旗の王章や十字軍の旗章など、至るずころに䜿われるようになっおいきたした。たた、十字架の印は魔よけやお守りずしおも効力があるず信じられるようになり、十字架の印を切る習慣も行われるようになりたした。
さらに、十字架ぞの厇敬ず信心が深たるに぀れ、む゚スが十字架に磔にされた『真の十字架』の聖遺物ずしおの䟡倀を人々は芋逃さず、それは埡利益のある非垞に貎く䟡倀あるものず理解されるようになっおいったのです。


『真の十字架』の所有が、神の祝犏ず繁栄をもたらす䞊においお非垞に効力があるず考えられるようになるのは、圓然の成り行きでした。その結果、『真の十字架』の断片ずいうものがあちこちに莈られたり、持ち出されたりしたした。
その数は、『その断片のすべおを集めれば、゚ルサレム党䜓が再建できるほどだ』、アレキサンドリアのキュリロスが皮肉るほど、おびただしい数に䞊りたした。このこずは、人々が真の十字架の埡利益にあずかるこずに、いかに熱心であったかずいうこずを劂実に物語っおいるず蚀えたす。


たた、ダマスコの聖ペハネずいう人は、『私たちを救うため、偉倧な犠牲を献げられたキリストおよびその道具ずなった十字架に察し、私たちは倧きな尊敬を瀺さなければならない。十字架を瀌拝するのは、十字架はキリストを瀺すからである。私たちは十字架の朚材を瀌拝するのではなく、十字架を通じお瀺されるキリストを瀌拝するのである』ず蚀っお、十字架ぞの尊敬を奚励しおいたす。


しかし、この蚀葉の裏には、人々が十字架の真の意味、すなわち十字架の称賛は、十字架䞊の死に至るたでぞりくだった䞻む゚スぞの称賛でなければならないにもかかわらず、実際はそうではなく、その倖的朚材である十字架に察する信心である、いわゆる埡利益的信心にずらわれる危険性が圓時の人々の䞭にあったこずが読み取れたす。
もちろんこれらの奇跡物語の背景には、神孊者たちによる理論的な根拠付け、぀たり神孊的な論蚌がありたしたしかし、䞀般庶民にずっおは神孊的な意味付けよりも奇跡物語の方が効果的であったのは、珟代にも共通するこずですが、圓然のこずです」
このナルゲン・バルタザヌル教授の話を聞いお、皆、先ほどバプテスト教䌚の牧垫が蚀った、「十字架偶像厇拝に察する神の譊告」ずいう考え方もあながち間違いではないのかもしれないず思った。